ST. ANGER/METALLICA

2003年発表の8作目。
前作までとは全く違う音楽になりました。スラッシュメタルからスタートして、常に進化してきたメタリカ。6作目、7作目が、作られた過程もあって似たような音楽性でしたが、今作は全く違った新しいメタリカです。
5作目以降は、グルーヴ感を重視したミドルテンポの演奏に、ジェイムズのメロディアスな歌を強調した音楽性でしたが、このアルバムは、激しいドラムをバックにシャウト主体のヴォーカルというスタイル。ギター、ドラムスのサウンドも生々しい音に変化しています。が、ドラムス、ギターの音は前作までのほうが好きだった私は、4枚目のアルバムで感じたのと同じ違和感を感じました。正直言うとスカスカに聴こえます。
6、7作目には欠けていた激しさがありますが、初期のようなスラッシュメタル風ではなく、アメリカの新しいヘヴィロックという感じでしょうか。メロディアス路線が好きだった私にはちょっと辛かった。初期のスラッシュメタル時代もキャッチーでメロディアスな曲で普通のスラッシュメタルバンドとはレベルが違っていました。このアルバムではそれをあえて否定して全く違った作品を作ろうとしたように感じました。その時代に彼らがやりたい音楽をやってきたのでしょうから、これがこの時代のメタリカなのでしょう。
「FRANTIC」、「ST. ANGER」は確かにインパクトのある曲ですが、年寄りの私の体は音に拒否反応を示してしまいます。

(2009年1月)

ロックンロールチルドレンへ